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biography
京都在住
2000年 京都市立銅駝美術工芸高校 デザイン科卒業
2006年 京都市立芸術大学 ビジュアルデザイン科卒業
2009年 京都市立芸術大学 美術研究科 ビジュアルデザイン科修了
幼い頃から絵、詩作、観察に興味を持つ。
大学在学中に偶然出会ったガリ版との関わりの道のりをガリバントラベラーと名付け、多角的に現代のアートとしての可能性を探求。ジャンルを超え、多方面に広がっている。
Artist statement
アーティストステイトメント
現代人の日常は、スマートフォン、AIの出現により、便利で効率化され、人々の五感には実態のないフラットで軽いメディアが浸透してきた。印刷物さえもペーパレスの時代などと言及され、人々の日常から遠ざかろうとしている。 印刷物の歴史は深く、世界最古で現存する印刷物、百万塔陀羅尼(770年)など、その歴史には人類の叡智の結晶を読み解くことができる。文字や絵を紙に転写し、残すことには、情報だけでなく、当時の人々の意図や形のない想いを手や身体をつうじ、紙に、書物に写されてきたことを感じる。
謄写版は今から130年ほど前、明治時代に日本の近江商人、堀井新治郎により発明され、商品化された。堀井氏はエジソンのミメオグラフよりその発明のヒントを得たと伝わる。当時の日本人には手軽に使える印刷機がなく、人々は多くの文書の複写のために手で書き写していた。堀井氏はそのような時代に革命的な印刷方法と道具を発売、流通させることで、多様な分野で近代日本の発展に大きく貢献したのであった。そして、電気を使わず、手で製版して、手動で印刷する謄写版は、人々に親しまれガリ版と愛称で呼ばれるようになった。個人単位で多様な創作物が生み出され、裾野の広いガリ版文化が築き上げられた。その働きは今のSNSやインターネットを活用する人々と同様である。しかし、昭和の中頃には、印刷技術の発達により、時代の流れで失われ、忘れ去られてきた。その歴史はガリ版文化第一人者 志村章子氏の研究にて聞き取り調査され記述されている。
私は子供の頃から絵を描くのが好きな子供であった。ある小学生の図工の時間、描いた絵を椅子に置き、遠くから眺めているとその絵の描かれた紙は生き物のように、私を冷静な視点でみつめ、自身さえも気づかない自己を炙り出してくれるように感じられた。その体験を通じ、私は絵を描くとき、自ずとその紙に生命が宿るかどうかを判断基準として取り組むようになった。
そして、将来、絵を描く職業に就きたいと、それを活かせそうな職業、デザイナーを志望する普通の大学生になった。
しかし、大学時代、高速道路で風景が変化する地域で活動するアートプロジェクトでの新聞発行を機に、偶然、当時名前も知らなかったガリ版と出会い、新聞づくりに使うことになった。インクはベタベタして上手くいかないが、配布していくと、思いがけず、ガリ版刷りの新聞がコミュニケーションツールとして働き、未知なる印刷器、ガリ版への興味と可能性が広がる。刻々と失われていく風景に直面し活動していた私には、ガリ版が時代が時代の流れとともに忘れ去られていくことに対して、その感情がリンクされ、何ができるのだろうと、無意識に模索していたように思う。
ガリ版と私は、技術・道具・ガリ版伝承に関わる人々や技術者・ガリ版刷りの新聞を配布した人々・歴史的な背景・先人の残した膨大な仕事など多様な関わりが生まれ、自身の未知の印刷器への印象を次々と変化させていった。そのプロセスが、まるで知らない町に立ち寄った旅人が様々な出会いを通じ、その町について理解していく様子と似ていると感じ、ガリバントラベラーというコンセプトが生まれた。
アナログな印刷手法による魅力の不思議さは、その形のない意図や想いを手や身体をつうじ紙に写すということである。実態のないフラットで軽いメディアが浸透する現代だからそこ、この人間の根源的な生命力を想起させるガリ版の世界を創作を通じ、未来につなぐことを願い、その背景にまで想像力を働かせ、創作を続けている。
Galiban traveler
「ガリバントラベラー」・・・
名前も知らなかったガリ版との関わりは、まるで旅人が知らない町を知りたいと好奇心を働かせ、歩く感覚と似ている。その旅は人の記憶や歴史などに誘われ、過去、現在、未来まで自在に方々へ広がりつづいていく。
道のり/覚え書き
1981年6月5日生まれ
母の故郷、北アルプスの見える自然豊かな長野県北安曇郡でカッコウたちの鳴く朝に生まれ、1ヶ月後に京都に来る。 御所の西の方の町内行事や地域社会が根付く場所に両親祖父母と住む。 5歳ごろ、店と離れた地域行事のない静かな住宅地に引っ越こす。
保育園の先生に勧められ、5歳ごろ母に絵の教室へ連れていかれる。10歳頃、友人に誘われ、別の絵画教室へ移り、デッサンを始める。
10歳ごろ、図書館で見た外国の作家の画集をみて、感銘を受け、絵を描く職業に憧れる。
15歳ごろ、絵は一人で描いていきながら、新しい勉強をしたいと考え、外国のデザインに憧れていたので、デザインの方向へ進むことに決める。
1997年、京都市立銅駝美術工芸高等学校 デザイン科入学。
2000年、京都市立銅駝美術工芸高等学校 デザイン科卒業。
自分にとっては、デザインは難しく、奥深く、大学でも学び続けることを決める。
3年間長い浪人生活を送る。
19歳のときにイタリアへ旅に行き、大きく価値観が変わる。 多様な地方都市の風景に新鮮さを感じる。外国に憧れながら、日本について知らないことに気づき、日本や自身の日常、足元にある可能性について探求したいと思う。
2003年 京都市立芸術大学 ビジュアルデザイン科入学
寝台列車に乗って、青森、岩手、高崎、伊香保などをめぐる一人旅にでる。様々な親切な人々との交流や、計画の少ない散策の面白さを体験する。電車を乗り間違えて降りた岩手の村での思いがけない小旅行の際、アートプロジェクトという言葉を知る。
2006年 大枝00展に参加する。 そのミーティングで名前も知らなかったガリ版のことを教わり、新聞をつくりたいと探し始める。 三社祭りの日、東京の旅で山手線散歩で迷い込んだ道で、サザエさんの台本を謄写版で制作されていた不二プリント商会さんと遭遇し、ガリ版について教わり、「サザエさん」と初めて製版し、印刷していただく。 旅の間に、そのときは同じガリ版と気づかなかった孔版画家の本間吉郎さんのすぺーす小倉屋の展覧会に通りかかるなど、偶然がいくつも重なりガリ版ネットワークから器材を購入できることなど情報を得る。
大枝アートプロジェクト(OAP)に参加。 大学付近の大枝土蔵で、時々、不定期の大枝新聞(現在、みどりの停留所新聞)を制作し始めるが上手くいかない。
ガリ版ネットワークの志村章子さんの紹介で、東京在住の、元、堀井謄写堂の社員の北浦満治さんに教わりに行く。その後、数年間にもわたり、往復書簡で、アドバイスしていただく。
上達がスローな中、新聞を配る過程で、様々な世代の人々からガリ版についての想い出話を聞く中で、ガリ版の不思議なコミュニケーションツールとしての可能性に気づく。
「助田茂蔵展」とガリ版体験に参加しようと、道に迷いながら、初めてガリ版伝承館へ訪れる。
OAPで、ガリ版ツアー、ガリ版合宿を企画し、ガリ版伝承館へ訪れる。
アートプロジェクトやガリ版が縁で、様々な交流が広がる。
学外でガリ版の新聞やプロジェクトをしながら、大学院では色をテーマにした映像、アニメーションの研究をする。
梅染など古代の植物染めをされている山本晃さんにお話をお聞きしたり、袋帯を制作する。
「藍×緑 はたらくものとそなわっているもののものがたり」の5分ほどのアニメーションを 修了制作とする。
2009年 京都市立芸術大学 美術研究科 ビジュアルデザイン科修了
2011年アートの視点から発見した風景をつなぐ新しいスタイルのガイドブックとして、「大枝・大原野 みどりの停留所をつなぐ vol.1」大枝アートプロジェクト編著(かもがわ出版)出版、1ヶ月で完売し、大枝、大原野地域での活動を自身は一区切りとなる。
向日町の富永屋さん(ー2020年1月)のシャッター再生プロジェクトとして絵を描く。
2012年頃 加藤第一印刷さんに活版についての見学の際、教わりながら体験することになり、 いくつかの印刷物を活版印刷でデザインしたり、一部、組版にも取り組む。 活版の素晴らしさに魅せられ、オリジナル活版印刷便箋の販売も始める。
2014年 ガリ版の作品で初個展を行う。(KUNST ARZT 京都・岡崎) 各地からの依頼で、様々な内容のガリ版のワークショップを始める。
2016年 ガリ版刷りの本をBOOK ART展(山崎書店 京都・岡崎)で発表を始める。
2018年 母が昨年末からの自宅看病の後、他界。心身の健康や病、医療や介護システム、生き物の生命力などについて深く学び考える。
2020年 日本茜伝承と未来展に参加する。自然の色からガリ版インクや表現の着想をする試みが始まる。ガリ版刷りオリジナル印刷物・ガリ版刷り原画のデザイン・制作などのガリ版関連の多様な依頼が増える。
2021年 コロナ渦の続く中、明治から昭和の中頃、戦中など日本の激動期を生き抜いた先人に興味がわき、資料や書籍などを通じ、静かに向かい合う時間が増える。
リトグラフ(アルミ版・石版)に初めて取り組む。
2022年 ガリ版研究第一人者の志村章子さん、大阪謄写館の助田篤郎さん、元堀井謄写堂の北浦満治さん、孔版作家の本間吉郎さん、自身がガリ版との関わりの中で出会った人々が相次いで他界される。それぞれの生き様や残された資料や作品、お手紙などから考察したり、関係する人々との出会いを通じ考え、偲ぶ。『志村章子のガリ版ものがたり』(2022年11月19日〜2023年1月29日/東近江市ガリ版伝承館)の展示や偲ぶ会、追悼文特集の編集・制作に関わる。
2023年 コロナ渦も落ち着き、ガリ版関係の出会いにも恵まれる。
ロウ原紙のロウ引き見学に初めて伺う。(岐阜・美濃市)
新ガリ版ネットワーク活動にて、志村章子さん、本間吉郎さんの資料整理に関わる。2024年ガリ版誕生130年記念「ガリ版ネットワーク1万点大公開」企画展に関わる。
2025年 助田篤郎さん所縁の地 越前和紙の里にて福井県で初めて個展を開催する。
2025年3月28日
春です♪
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